東京日記

日々の記録

2022年6月13日 自宅付近(晴れ)

散歩がてら少し遠くの喫茶店に行こうと住宅街を歩いていたら、角のところで、開けた小学校の校庭が目に入った。上が白、下が紺の体操着。体操着の独特の生地の厚み。よく晴れていて、まだ真夏ではないのに日差しが強い。砂埃と子供の高い声が風に乗る。子供は数人しかいなかったのに、それは完全に運動会の日の光景だった。運動は得意でなかったのに短距離だけはなぜか速くて、毎年リレーの選手をしていた私にとっては、緊張と周囲とは少し違う高揚が入り混じる日。

2022年6月12日 虎ノ門ヒルズ(晴れ)

東京で一番高いというビルの上で、大学時代の友人たちとアフタヌーンティーをした。51階まで上がるエレベーターの中で耳が二度ツーンとする。普段の生活からすると、まさに宿敵のような場所。日比谷の街が下に見えて、遠くに武道館が見えた。ということは、皇居も見下ろしていたのではないかと今さら気づく。カクテルを1杯、お茶を5杯も飲んで、お腹はたぷたぷ。

帰り際に南側の窓から街を見るが、こちらは新しい高層ビルが乱立していて、何が何だかわからない。

ビルの足元まで降りて、芝生の前の椅子に座って、風に吹かれながら、さらに2時間おしゃべり。虎ノ門駅まで続く地下道は、あまりにも長く、まっすぐで、SF映画のようだった。

2022年6月11日 恵比寿(曇りのち雨)

あるワークショップに参加して、いろいろな人と話をする。初対面の印象と話し始めてから感じる印象のギャップや、それぞれの人の話のリズム、反応の仕方からこれだけ多くの情報が入ってくるのかと、新鮮に感じる。

ワークショップを終えて、そのままふらふらと渋谷まで歩き、まっすぐ家に帰る。

疲れていたのか、かなり早い時間に寝てしまった。

2022年6月10日 自宅付近、錦糸町(晴れ)

図書館で借りた『文學界4月号』と、8日に買った『エトセトラ』を近所の喫茶店で読む。エトセトラは、「くぐりぬけて見つけた場所」という特集で、読みながら少し泣きそうになる。隣の席では、二人組のうちのひとりのおばちゃんが、どうしても四人席に座りたいらしく(彼女たちは二人席に座っている)、四人席に一人で座っている人に呪いの言葉を吐き続けている。今日は二人席に座っていてよかった。そして、おばちゃんの夢は叶う。

定期的な集まりのため、錦糸町へ。いろんな話がやりとりされ、いろんな感情が動く時ほど文章にすることができない。

2022年6月9日 井の頭線沿線(晴れ)

図書館で借りた『手づくりのアジール』という本を読む。パートナーと一緒に奈良の山村で私設の図書館を運営している研究者の対談本。無理に踏みとどまるよりも、逃げ延びて好きに暮らすほうがいいのかもしれない。過去にいた、いくつかのアジールのような場所のことを思い出す。そういう場所について、Zineを作ってみたい気持ちになった。

夕方から、お気に入りの喫茶店へ。通い始めて3年くらい経つが、最近ようやく店主の人と少し話すようになった。珈琲とミルク珈琲を飲む。

2022年6月8日 渋谷(曇り)

文化村通りを歩いている時に、東急百貨店本店の向いに立っているビッグイッシューのおじさんは元映写技師で最新号の人生相談コーナーにちょうど出ている、という話をTwitterでたまたま見たのを思い出す。いるかな、いたら買ってみようかなと思って、少しカーブになっている道の先に姿を発見する。最新号をください、おじさんが載ってるってTwitterで見ました、と話しかけて、少し立ち話をして、お別れをする。いいおじさんだった。

ひさしぶりのジュンク堂で、中身を確認したかった雑誌をいくつかパラパラ立ち読みして、脳科学、進化論、生物、植物、心理学、哲学と棚をまわり、結局2時間くらい居た。図書館で借りる本リストが無限に増えていく。エトセトラの最新号だけ購入。

太極拳の道場へ向かうが、駅前の歩道橋がかけ替わってから、駅を越えて新南口方面に出る場合のルートの正解がわからなくなって、歩きながら、ずっと頭の中で三次元のシュミレーションをしていた。東口の渋谷ストリームにつながる歩道橋を今まではなんとなく使っていたけれど、フクラスのエスカレーターをのぼって西口の歩道橋で246を越えるバージョンもあるなと試してみたら、結構良さそう。明治通りの手前、ビルの隙間の暗い道に入ると、まだ工事中の現場が現れる。細い道を歩き、ガードレールをひょいと乗り越えて、道場へたどり着いた。